私たちの世界から、すべての〝科学技術〟を消しました。
けれども、それは、なくなりません。
私たちの世界から、すべての〝武器〟を消しました。
けれども、それは、なくなりません。
私たちの世界から、すべての〝土地〟を消しました。
けれども、それは、なくなりません。
私たちの世界から、すべての〝お金〟を消しました。
けれども、それは、一向になくなりません。
私たちの世界から、すべての〝言語〟を消しました。
けれども、それは、全くなくなりません。
私の世界から、すべての〝心〟を消しました。
けれども、それは、なくなる気配がありません。
私の世界から、すべての〝人〟を消しました。
けれども、それは、なくなりません。
そして私は、はっとしました。
もう、なにも残っていないということに、
これが理想の世界なんだということに、
この喜びと悲しみが入り交じる何とも言えない感情と共に
私はどうすればいいのでしょうか。
そんな疑問が、ただひとつ、残ってしまいました。