あっはっは(笑)(泣)
新葉しあ
悲しいも恨めしいも一つに纏めてしまうといい、複雑に絡んだ心を持てばいいんだ。
そして大きな声で笑えばいいさ。語尾に(笑)とか(泣)とか撒き散らして歓喜の声を上げてしまえばいい。それだけで君の心は守られるんだ。
どうせそんなものなんだよ。つまりは人間なんて、体面さえ整っていれば他人の言外の意を理解しようともしない盲目な裸の王様なんだ。それで殻を纏えば道中はうまくいく。しかし、どこで道を誤ったのか、何を要らぬものを抱え込んでしまったのか、それすらも分からずに、最後に暴君は倒れる。倒される。
逆に内面をいくらよくしようとした所で、それもまた一つ違うという。「あなたがたとえ氷のように潔癖で雪のように潔白であろうとも、世の悪口はまぬがれまい」とはよく言ったものだ。人は、報道の言うことを鵜呑みにして与党のなす事を全て否定し、野党は信用出来ないと跳ね除け、しまいにアナーキーにでも陥れば発狂でもするのだ。人の本質は妥協とでも言わせたいのだろうか。あぁ、きっとそうなんだろう。全くもって迷惑だというんだ。
結局は、これは当たり前のことだが、俺にだって人間がどういうものかなんて掴みきれていないのさ。人間を一括りにすることが間違っている、個々があり、同じようでいてそれは全て異なると昔お前は言ったな。だが、俺に言わせてみれば、違うようでいて十把一絡げに纏めてしまえる、纏めてしまうべきものなんだ。
先の話、どちらを取っても、人は群れるからそうなるのさ。群れなければ、より良い生き方が出来るかもしれないと言うのに、それでも集まって、泥にまみれた生き方をする。自分たちが汚いことを理解していて、なおそれでも行動を正そうとなんてしないのさ。
どうせそんなものなんだよ。つまりは人間なんて、体裁を気にして、あれ程度の所で妥協していれば、人として、一般的な人としてなら上手くやって行けるのさ。
だから、お前は今、悲しいも恨めしいも一つに纏めてしまうといい、複雑に絡んだ心を持てばいいんだ。
そして大きな声で笑えばいいさ。語尾に(笑)とか(泣)とか撒き散らして歓喜の声を上げてしまえばいい。それだけで君の心は守られるんだ。
お題 「歓喜」